2012年05月17日

スズメの涙(第4話)

スズメの涙(第4話)


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埼玉県越谷市

七月にして この暑さ!!

日本国内において・・・最高気温40.9℃のタイ記録を保つ街

俺はホームレス

バブル崩壊後に全財産を失って、それ以来ずっとホームレス


慣れると楽しいもんだ。

家族はいない・・・

朝から仕事と食べ物を探す。

寂しくは ない。

仲間がいる。最近では30代の若いヤツも増えてきた。

増えたものは良い。

でも その分

仕事と食糧が減る。


今日で3日、何も食べてない・・・

「腹減った〜〜・・・」こう暑いと動くのも辛いな

ん!!
「なんだアイツ」

この暑い中、コートで歩いてる

熱中症で倒れるヤツが多いのに

その男が近づいてきた。

「すみません。この辺りで・・・闇の案内所というお店を
ご存じないですか?」

「闇の・・・案内所?
いや〜知らないけど、なんのお店?」

「そうですか?では失礼します」

・・・

本当に失礼なヤツ!

「ちょっ・・・ちょっと、あんた何か食べ物でも持ってないか?
3日間も何も食べてないんだ」

「食べ物・・・・・・ですか。パンならありますよ」

男が持っていたトランクからパンを取り出した。

トランクからパン??

別に気にしないが・・・

アンパンを連想させるパンだった。

「そちらの商品・・・ただでお譲りしますが、どうなっても知りませんよ」

「コレ賞味期限書いてないけど大丈夫?」

「腐ったりしていませんが・・・そのパンを口にすると、12時間以内に
一度だけ・・・

スズメの涙ほどの不幸が訪れます」

「不幸?へぇ・・・・もう失うモノなんて無いんだ」

空腹が勝った感じだ。
久しぶりの食糧

最高に美味しい・・・

男が立ち去ったあと

「不幸なことか」

最近この辺りでホームレス狩りが流行ってる

俺に降りかかる不幸はそれくらいしかない。

「待てこら〜!」

「はぁ〜はぁ〜・・・・」

思った通り・・・襲われてる。

鉄パイプを振り回す3人組

走って走って・・・・・・・

老体にムチ打つ。

以前、同じホームレスが殺されているのを新聞で読んだ。


捕まったら殺される。

クソ!!
こんな目に合うならパンなんか!!

そう思った時・・・


ガッシャーン!!

突然、視界が暗くなtった。

上の方から

「おい・・・マンホールに落っこちたぜ」

「しゃ〜ない・・・他探して、焼き入れようぜ!」

なんとか助かった・・・

「いってぇ〜」

マンホールに落ちて助かった。
そうか・・・スズメの涙ほどの不幸はコレか。

「イテテテテテ・・・」

あのパン食って無かったらイテテテじゃ済まなかった。

臭いのは我慢して、ゆっくり梯子(はしご)を登りだした。

マンホールから落ちると

ヘタをすれば死んでしまうケースもある。

かすり傷程度でも本当にラッキーだった。

翌日・・・

「腹へった〜」

いつもと同じ公園
なんか仕事探さないと・・・


ん?

昨日の男

俺は急いで走り寄った。

「お兄さん!昨日は助かったよ〜ありがとう」

「不幸は免(まぬが)れたようですね」

「一つ・・・頼みがあるんだが、昨日のパン、もう無いかい?」

「ありますが・・・」

「あるのか?わけてもらえないかな?」

・・・

・・・


「構いませんが・・・」

「お〜!恩にきる」


俺にとっちゃ、幸福のパンだ。

必死になって食べていると男の姿は無かった・・・

あれ?

なんか、お礼したかったなぁ!

一時間ほどして、公園の中央で男が叫びだした。

「ホームレスの皆さ〜〜ん!仕事ありますよ〜〜
先着10名まで受け付けま〜す」

!?

仕事?

何人かが走り出すのを見て俺も走り出した。

ん?

「おわっ」

ドテン!

いきなりこけた。

「いっつ〜」

こんなに早くプチ不幸が来るなんて・・・

公園の前には10人以上が並んでいた。

今回の不幸は、ちょっと痛かったなぁ!

「おい!なんの仕事だったんだ?」

帰ってきた仲間に聞いてみた
「あぁ・・・外に並んでチケット買うだけで1万円」

「なんだと〜」


クソ!並ぶだけで1万か・・・

翌日・・・

この仕事を、やらなくて良かった。

『チケット売り場の列に車が突っ込み死傷者8人』


他のホームレスたちも良かった〜・・・と口ぐちに言い合った。

また

助かった。


熊谷駅前・・・

一人の男がパンを食べていた。

「幸い転じて福を成す。闇の案内所は、何処にあるんですかねぇ」

そういって、歩き出す。


グニャッ!!

男が何かを踏んだ・・・


「このパン。欠陥商品ですねぇ」


スズメの涙終了

◇次回は花です◇お楽しみに

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posted by 荒井勝 at 21:20| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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